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労働時間規制の撤廃に反対し、人間らしく働くための労働法制を求める共同アピール
私たちは、働く者が無制限の長時間労働によって健康被害にさらされてきた歴史の中で、健康に働くための最低限の権利として「1日8時間労働制・週40時間労働制」という大原則を確立してきた。
ところが今、法制化が目論まれている「自律的労働にふさわしい制度」(日本版エグゼンプション)によって、私たちはこの最低限の権利を完全に奪われようとしている。
この制度は、「自律的労働」の名のもとに多数の労働者から労働時間規制の保護を奪い去り、無制限の長時間労働を法律的にも可能にする制度である。労働者の「自律性」が強調されることによって、使用者に課せられている「労働時間管理義務」をなくし、ひいては使用者が労働者の健康に配慮すべき義務(安全配慮義務)すら免除されかねない。長時間労働や過労死、過労自殺、精神疾患が労働者の「自己責任」とされてしまう。
現行の労働時間規制自体、使用者団体の圧力の下で、規制緩和が次々となされてきた。そして、その法律さえ守ろうとしない多くの使用者の下で、私たちはサービス残業や長時間労働を強いられ、生活のための時間、家族や友人とともに過ごす時間を奪われ、過労死や過労自殺、精神疾患の危険にさらされている。さらには、長時間労働による出生率低下などさまざまな社会問題が深刻化している。
厚生労働省は、過労死の防止や少子化対策が重要であると説き、時間外労働手当の割増率アップなどの小手先の対策を打ち出しているが、「自律的」労働者については、法の規制は必要がないと説明している。
しかし、自己実現や能力発揮を希望する「自律的」労働者が増えているという厚生労働省の提案理由は、何ら実証されていないばかりか、同省の調査によっても、「自己実現や能力発揮を理由に労働時間規制の適用除外を望む労働者」はごく少数である(厚生労働省調査)。この制度の導入勢力の本音は、労働者の健康に対する企業の責任を免除し、不払残業を合法化することにある。
どのような労働者であろうと、過労死の防止や少子化対策のための労働時間の削減が必要不可欠なことは明らかである。この制度は、いったん導入されれば、とめどなく労働時間規制の適用除外となる労働者の範囲が拡大していくであろう。
安定した雇用を欲する私たちの希望に反して、パート労働者や派遣労働者、契約社員などの非正規労働が増加し、労働条件や将来への希望の「格差」は拡大している。非正規労働者の多くは、有期労働契約を反復更新する「細切れ契約」により働かされ、常にクビを切られる不安に脅えながら働いている。正社員労働者の極端な長時間労働がその背景にある。誰もがゆとりある労働時間を実現すれば、雇用は拡大する。今、求められているのは、「均等待遇」や有期雇用への規制の法制化である。
さらには、非正規労働者であっても、一定の要件をみたせば労働時間規制の適用除外が可能となり、補償のない無制限の長時間労働にさらされる危険性がある。「自律的労働にふさわしい制度」は決して正規労働者だけの問題ではない。
すべての働く仲間やその家族が力を合わせ、「自律的な労働にふさわしい制度」を食い止めるとともに、過労やストレスに脅えることなく健康に生活し、希望を持って、安心して働けるルールを確立しよう。
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